夫婦円満への願いというのは、やっぱり神頼みしていれば安心できるというものでは無いような気がします。
思い遣りなどの日々の心掛けや幅広い知識、そしてエネルギーも必要ですよね。

だだ、どの方向に頑張ればいいのかというのが難しく、空回りしてしまうのが怖い所です。
夫婦の問題というのは周囲からは見えにくく、上手くいっていそうな人に相談してみても、案外アテにならない事が多いかもしれません。

今回は、たとえフィクションであっても人間洞察の優れた映画制作者の観点から、夫婦円満の秘訣が込められたような映画をまとめてみました。
普段の生活では実践しにくいようなトライ・アンド・エラーを、映画を見る事を通して仮想体験するのも良い方法かもしれません。

【自由学校】型にはまらない場合もある

「自由学校」は、失業した夫を抱えて四苦八苦するパワフルな妻を描いています。

支配欲が強く、夫を意のままにコントロールしようとする妻が、自分の価値観は差し置いて、相手のペースも守ってあげなればならない事に気付いて行くというお話です。

ある日夫が、世知辛い世の中に嫌気がさし、自ら会社を辞めてしばらくプラプラしていた事が発覚します。
妻はそんなだらしのない夫に怒り狂い、勢いで彼を家から追い出してしまいます。

ところがこの妻は、自由になって様々な男性と付き合ってみても、ちっとも面白くありませんでした。
生活の方は急に困るという事はなく、彼女には自活していく能力が充分にあります。
それでも結局は夫が気になって、ヤキモキしてしまうのです。

一方家出をした夫は、家出先でも色々と煩わしい事が多くなってしまい、いったん家に帰って来ます。
妻は「それみた事か!」と一層強烈に夫を縛ろうとしますが、夫はそれを見て再び出て行こうとします。

妻が熱くなればなるほど夫は醒めていき、縛ろうとすればする程逃げていく男の性のようなものはどうしようもなく、別れる踏ん切りのつかない妻の方が妥協するしかなくなるのでした。

【お茶漬けの味】トラブルが幸いして・・・

「お茶漬けの味」は、良家のお嬢様と庶民の男の夫婦の物語です。

この二人はお見合いでの結びつきであり、どこかよそよそしさが拭えない様子です。

夫は妻に遠慮して何も言わず、逆に妻は自分とことごとく違っている夫の言動がいちいち気に食わず、いつもツンツンしています。
夫に嘘を言って友達と温泉旅行に出かけても、全く気が付かないし、どんなにケンカを挑んでも応じてくれず、夫は常に飄々としています。

ある時妻は、姪のお見合いの事で夫と衝突します。
姪はお見合いが嫌でとことん拒否するのですが、妻は姪に強制をします。
ところが普段は何も言わない夫が初めて「嫌がる人に無理やりお見合いさせても、僕らのような夫婦がまた出来るだけだよ」と、珍しく皮肉のような事を言います。
この言葉に妻は逆上し、今度は無断で遠距離旅行に出てしまいます。

ところがこのタイミングで、急に夫の海外転勤が決まってしまうのです。
二人はすれ違ったまま、夫は旅立ってしまいます。
この初めての危機に、夫婦はお互いにようやく緊張感を感じたようです。
飛行機の不具合で足止めを食らった夫が一旦帰ってきた事で、二人は破局を免れる事が出来ました。

二人はお互いに本当の気持ちを打ち明け合い、それぞれの価値観に基づいて相手を想っていた事を知るのでした。
やっぱり本音の会話のない夫婦というのは、本当の危機に出くわしたときには脆くなってしまうもののようです。
この二人は、幸い早い段階でそれに気づけた例なのでしょう。

【あの手この手】妻の独擅場も程々に・・・

「あの手この手」は、才女の妻と凡才の夫の倦怠期を描いた作品です。

妻はやり手の女性で、教師をしながら新聞の身の上相談の記事を書いたり、色々な社会問題への活動に首を突っ込んだりしている、今で言うキャリア・ウーマン・タイプの女性です。

一方夫は冴えない万年助教授で、最近小説の執筆に凝っています。
そんな夫が、ちょっと雑誌に載ったのに気を良くして、大学を辞めたいと言い出したから大変です。
妻はやんわりと夫に仕事は続けた方が良いと言いますが、夫はそれに不満な様子です。

そこへ、強烈なパワーを持った姪が家出をしてきた上に居座り始め、妻のペースが乱れてしまいます。
姪は夫に初恋のような感情を抱き、二人が仲良しになった事で妻はやや押され気味になります。

そして夫に少し勇気が出た事で二人は初めて喧嘩をし、夫はプチ家出をします。
このささやかな波紋が起こった事で、二人の間にはいささかの緊張感が生まれ、どうやら倦怠期の一山くらいは乗り越えたように見えるのでした。

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