既婚後ふと兄弟が懐かしくなったり、家族の揉め事があった時など、他人の家庭はどうなんだろう?と思う事があります。

自分の場合、ふだん友達と兄弟の話をする事はあまりない為、ついつい自分の家庭を基準に考えてしまいがちです。
でもきっと世の中には、様々な兄弟の形や繋がりの深さなどの違いがあるものなのでしょう。

私がなぜ友達と兄弟の話をしないのかと言うと、それは自分にとって心の深い部分であり、よっぽど共有できそうな人とでなければ話題にしたくないという心理が働いているのかもしれません。

今回は、家族の中でも兄弟や姉妹の関係について扱った映画を見て、感心させられたり見識が広がった作品をまとめてみました。

【鰯雲】農地改革に遭う農家の6人兄弟

「鰯雲」は、それぞれ母親が違うという特殊な家庭の物語です。

それで仲が悪いのかと思いきや、逆にお互いに依存し過ぎる事なく、お互いに助け合って、そこそこに気を使い合うという、かなり良い感じの人間関係を築いています。

映画のテーマは、農地改革後に地主の立場を追われ、没落していく農家です。
あくまでも昔の習慣や土地にしがみつく父親と、新しく活路を見出そうと奔走する子供たちとの対立構造が描かれています。

兄弟はそれぞれ父親の事を想ってはいるのですが、やはり若者たちは時代の流れを見据えているため、古い考えに従う訳には行きません。
そこで兄弟たちは、父親の計画とは違う道をそれぞれ実現するために助け合う事になるのです。
一人ひとり進路は違うのですが、それぞれが独立した存在として立っていこうという共通の目的の元に一丸となる兄弟の姿は、見ていて気分の良いものでした。

【娘、妻、母】サラリーマン時代の5人兄妹

「娘、妻、母」は、親の遺産にタカろうとする、ちょっと残念な兄弟の物語です。

この家庭は5人兄弟という今ではあまり見られない家族構成で、それぞれが結婚して自分の家庭を築いています。

親が昔はある程度の財力を持っていたせいか、子どもたちはあまり苦労を知らない”ぬるさ”を持っています。
ところが父親は使う方も派手だったらしく、残された遺産は土地と家屋だけでした。
そして、それすら長男が抵当に入れて投資に失敗したため、失われてしまいます。

そこで問題になったのが、誰が母親の面倒を見るかという問題です。
普段は昔ながらの親しみを持って楽しく過ごしている兄弟たちが、母親の面倒を擦り付け合う姿には悲しいものがあります。
ただ こういう残念な点はあるものの、この兄弟の良いところは思った事をズバズバと言い合う所です。
それも感情論は一切抜きで、徹底して打算的に話し合うのです。

ただ一人、長女だけがこのノリについて行けないのですが、母親は逆にこの娘が一番心配というから皮肉なものです。
兄弟もそれぞれに家庭を持てば、そちらを優先させざるを得ないというのが現実かもしれないという思いが募る物語でした。

【泣蟲小僧】頼る者のない4人姉妹

「泣蟲小僧」は、親は既にいない姉妹4人の物語です。

長女は子持ちの寡婦で、二女は普通の主婦、三女は内縁の夫婦、末娘は独身のOLという構成です。

それぞれ別に暮らしてはいても、やはり姉妹というのは人間関係が密接なもので、お互いに煙たい部分もありつつも、切れない縁で繋がっている様子が楽しいです。

中でも長女は姉妹に迷惑をかけまくります。
小さな子供が二人いるのですが、旦那さんが亡くなったため、今は愛人に依存するしかないような状況です。
ところがこの男が長男を好かない為、長男は姉妹の所を転々とするしかなくなってしまいます。

二女の夫は売れない小説家で、とても人の子供まで見てやる余裕は無いし、三女はそれ以上の極貧状態です。
末娘は、たらい回しにされている子供が可愛そうで長女に抗議をしますが、長女としては愛人に縋るしか生きる術がないのでした。
それでも子供が「母親が一番好き」と言うシーンは、しんみりしてしまうものがあります。

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