これって誰に相談しても「じゃ辞めれば?」と突き放されるか「もう少し考え直したら?」という継続論が返ってくる事が多いと思います。
そして、そもそも自分でも「どうして辞めたいのか?」という理由が、正確に分かっていない事もあるのではないでしょうか。

早急に辞めて後悔したり、辞めたは良いけど身動きが取れなくなってしまう前に、その後何をするつもりなのかをハッキリとさせた方が、安全のような気がしてしまいます。

だけど もしかすると一番怖いのは、本当は辞めたいのにズルズルと時間を無駄にする事なのかもしれません。

今回は、仕事を辞めたいと思っている主人公の言動を客観的に見る事で、自分の気持ちの分析に役立ちそうな映画をまとめてみました。

【早春】サラリーマンの悲哀と憂さ晴らしの日々

「早春」は、サラリーマンになったのは良いけれど希望が持てず、先輩の様子からして、自分の将来も見えてしまった時の絶望感が描かれています。

彼らは毎晩仲間と集まって麻雀をしながら取ったり取られたりしてみたり、休みの日にはハイキングへ出かけて憂さを晴らしています。
たまに会社外のコミュニティで集まって飲んでみても、自営業者も大して変わらない状況のようで、逆にサラリーマンである自分が羨ましがられたりしてしまいます。

そして最近、家庭でも愛情を感じられなくなった主人公は、同僚との浮気に走ってしまいます。
結局、彼は浮気がバレて家庭崩壊寸前の危機を経験し、家庭の大切さを実感するハメになります。

それと時を同じくして会社から地方勤務を命じられ、また一から出直す気持ちになるのでした。
世の中には最初から“面白い仕事”がある訳ではなく、守るべき存在があって初めて社会人になれるのかもしれません。

【女が階段を上る時】華やかに見える世界の裏側は・・・

「女が階段を上る時」は、駄目な家族を背負った運命から、不本意ながらバーの雇われマダムをしている女性の物語です。

このマダムは、早くに夫を亡くして未亡人になった上に実家が貧乏で、稼いでも稼いでもキリが無いというアリ地獄のような生活を送っています。
更にはお兄さんが、次々と問題を持ち込んでくる厄介な存在だったりします。

彼女がそもそもこの世界に入ったのも、元はといえば家族を養うという義務からです。
とても普通の仕事では生活が成り立たなくなっていた所へ、バーのマネジャーにスカウトされたのがこの世界に入ったキッカケでした。

ところがこのマダムにとって、水商売はいつまで経っても好きになれない職業です。
飲めないお酒を無理に飲み、客には軽く見られ、常に肉体を要求してくるのを上手にお断りしなければなりません。
そして毎日ガマンにガマンを重ねているのに、家からはいつもお金の催促が絶えないのでした。

しまいに彼女は、その執拗な圧迫に絶えきれずに、お客からの甘い罠にかかってしまいます。
不本意な仕事をイヤイヤ続けて心身ともに弱っていた所へ、虎視眈々と狙っている男たちに付け込まれてしまったのです。

結局このマダムは、客に救われるどころか「結婚詐欺」に遭った挙げ句に、ちょっと気に入っていた客に弄ばれてしまう羽目になります。

彼女は良い素質を持ってはいるようですが、けっきょく仕事を好きになれない為に力を発揮できないように見えます。
仕事をする目的がお金だけだと、人は持っている力を存分に発揮できないのかもしれません。

【大阪の宿】無気力な男に入った微量のカンフル

大阪の宿は、曲がった事が嫌いなサラリーマンが、失敗ばかりしている物語です。

彼は東京の保険会社に勤めていましたが、会社の不正が許せず感情的になって傷害事件を起こした事で左遷されてしまいます。

そして彼は、まだ戦後の復興から完全に立ち直ったとは言えないような、荒廃した大阪の町へ移動になります。
独身である彼は ある安宿に居を構えますが、そこには女中さんや社用で訪れたお茶屋の芸者などが頻繁に出入りして、随分と騒がしい宿でした。

ところが彼女たちの生活を見ていると、毎日が生きるための戦いであり、主人公のような正義感を振りかざす余裕はありません。
悪い事と分かっていても やらなければならない時もあるし、悲しい事も苦しい事も受け入れざるを得ず、決して現実から目をそらす事は出来ません。

彼はそんな彼女らと共に過ごすうちに、正論を唱えていただけでは何も変わらず、自分だけがクリーンな存在として全ての悪事から逃げ果せる訳でもないのだと悟っていきます。
汚い事も現実として受け入れ、自分が出来る事を淡々とやるしかないという心境になって、現在の環境で頑張っていく決心をするのでした。

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