結婚には、相手の親との関係が付き物だし、昔ほどでは無くても「家」という概念はやはり無視できない問題だと思います。

今は核家族単位での暮らしが主流とはいえ、諸々のイベントや大型連休の帰省もあれば、親の介護問題など、結局は無関係ではいられないのが現実です。

そして親だけでなく、相手の兄弟や親戚との人間関係もこじらせると後々大変です。
普段から家族や親戚との付き合い方に注意を払っていたり、客観的な見方が出来れば良いのですが、なかなかそうも行かないものです。

今回は、同居の中でも特に難しそうな「自営業」を営む家庭を描いた映画を集めて、お嫁さんの紆余曲折の様子をまとめてみました。

【妻の心】同居のストレスがもたらす離婚の危機

「妻の心」は、薬局を営む個人商店にお嫁入りした女性の物語です。

この家で一番やっかいなのは、家業を継ぐ事を放棄していながら長男風を吹かせ、経済的に面倒をかける長男夫婦の存在です。
そしてこの長男夫婦の存在を増長させる姑の存在が、問題を更に複雑にしています。

お嫁さんの主人は次男ですが、薬局を継いでいるのは彼です。
彼はだんだん経営が不振になっている事を危惧して、空き地へ喫茶店を出すという新たな試みの準備中でです。

ところが姑は昔の威光が忘れられず、二女の結婚式を盛大にやろうとしたり、相続権を主張してくる長男に加担したりします。
それでも気の弱い夫は、家族に言いたい事が言えません。

お嫁さんは絶望的な気持ちになり、孤独な戦いに疲れて、何かと昔の男友達に頼るようになります。
夫はそんな妻の様子に気が付き、そうなって初めて、改めて妻の存在の大切さを痛感するのでした。

【この広い空のどこかに】本音で語れば、衝突が生まれるもの

「この広い空のどこかに」は、酒屋に嫁いで来た新妻が、小姑の存在に悩まされる物語です。

この家庭は、ちょっと複雑です。
姑は二度目の奥さんであり、妹や弟は義理の兄弟です。
そして旦那さんだけが前妻の子供で、父親は既に亡くなっています。

旦那さんは どこか姑や妹弟に遠慮があって、本当の肉親のようにズバズバ物を言う事が出来ません。
その上お嫁さんと彼らが上手くいかないと、旦那さん的にはけっこう難しいわけです。

結果、お嫁さんに厳しく言わなければならないような結果になってしまいます。
とはいえ旦那さんは超絶「良い人」なので、お嫁さんは叱られてもヘソを曲げたりはしません。
お嫁さん自身も、素直で優しい性格です。

結論から言うと、結局はみんな良い人なのです。

ところが姉は、戦災で足が不自由になり、婚約者に約束を破棄されてしまったせいで、陰鬱な毎日を送っています。
幸せそうなお嫁さんに辛く当たったりして、弟とバトルになったりします。

どうやら この家族の救いは この弟君のようで、彼だけが家族全員と本音で話が出来るのです。
お嫁さんも、この子のおかげでだいぶ救われます。

それでも姉が勇気を出したのをキカッケに、家族全員の心が溶け合うのを見ると、やっぱり人間の信頼関係って血の繋がりだけじゃないと思いました。

【乱れる】努力が報われない事もある

「乱れる」は、夫を失って家族を支えざるを得なくなったお嫁さんを描いた物語です。

このお嫁さんは、結婚した途端に戦争で夫を失い、その後ずっと残された家族と店を守ってきたという立派な人です。
ところが悲しい事に、お嫁さんがどれだけ頑張っても、家族の方ではお嫁さんを本当の家族だとは認めてはいません。

このお嫁さんは、戦争で焼けてしまった店を独りで一から再建し、以前の店よりも繁盛させるというハードな貢献をして家族の生活を支えてきました。
ところが時代は変わり、スーパーマーケットという形態が台頭したせいで、個人の営む小売店は次々と淘汰されていきます。
そして義理の姉妹たちが、相続権を振りかざしてお店の事に口出しするようになります。

義弟は、店を畳んでスーパーマーケットにする事を考えてはいますが、その所有権はお嫁さんに譲りたいと思っています。
ところが、義理の姉妹たちは自分の相続権をタテにそれに反対します。
そして姑は、間に入ってオロオロするばかりです。

この対立に困ったお嫁さんは、自分が出ていけば治まるのだと悟り、急に田舎に帰ると言い出します。
そして、義弟以外は誰も彼女を引き止めようとはしません。

この結末は、結局この家族は「血の繋がり」に重きを置いていて、最後までお嫁さんを他人としか見ていなかった事が判明してしまうのでした。

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