淑女は何を忘れたか

監督:小津安二郎
出演:栗島すみ子、齋藤達雄、桑野通子

ある昼下がり、山の手の高級住宅地で、ブルジョア夫人の3人組が、いつものようにおしゃべりに花を咲かせている。
麹町のドクトル夫人・時子と、御殿山の未亡人・光子が話しているところへ、牛込の重役マダム・千代子がやって来た。

千代子:こんちは
時子:いらっしゃい
光子:ごきげんよう。先日はどうも。
千代子:あんた、いつ来たの?
光子:少し前。
千代子:へえ

時子:…あんた、今日はいやに綺麗ねぇ。
千代子:そう?
光子:今日はとても素敵ね
時子:ほんとに綺麗よ、今日は。
千代子:よしてよ~、今日は今日はって…。
光子:へぇぇ…。いつも綺麗なつもりでいるんだよ、この人は。
千代子:バカ!

時子:その羽織いいわねぇ
千代子:そう?ちょいと洒落てるだろ?
光子:どこ、三越?
千代子:うん。うちの見立てなんだけどねえ。ちょいと地味じゃない?
時子:へぇ?地味?それで…。
千代子:そうかい?地味じゃないかい?
時子:へっ。お前さん、今年いくつ?
千代子:ちっ、さらすない。

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