昔の映画を見ていると、親が再婚したために「片親が違う」という兄弟の話が、けっこう出てきます。

そして意外にも、親が違う兄弟の同居する家族が、良い感じで仲良く暮らしている様子が普通に描かれています。

こういう子供たちを見ると「誰の子だ」とかいう問題はしょせん大人の都合であって、人間は本来もっと大らかで柔軟な存在なのではないかと思いました。

今回は、再婚によって親が違う兄弟が同居する家庭を描いた映画をまとめました。

【女の座】年齢差のある再婚の場合

「女の座」は、お父さんが再婚し、その子供が後妻との子供たちと暮らす様子が描かれています。

奥さんは夫の子供にけっこう気を使っていて、名前も「さん」付けで呼んでいます。

というのは、彼女が再婚したのは子供たちが大きくなってからの事だったので、自分に年齢が近いという事情があります。

だから前妻の子と自分の子たちは年齢がけっこう離れていて、兄弟というよりは叔父叔母のような雰囲気に近いものがあります。

奥さんが強い事を言えない為に、前妻の娘が増長気味になっている以外は、兄弟同士は微妙な距離感を持つ事で、うまく行っているように見えました。

【この広い空のどこかに】コミュ力に長けた男たち

「この広い空のどこかに」には、個人商店を営む家庭で、母親の違う兄弟が共に暮らす様子が描かれています。

この家の父親は既に亡くなっていて、今では前妻の息子の代になっています。

その息子の下に後妻の子である妹と弟がいるのですが、そこに長男の嫁も加わって、ちょっと難しそうな家庭環境です。

長男は嫁と姑の問題だけでなく、妹との関係にも苦労しています。
妹は戦災で足が不自由になり、婚約者から結婚を断られてしまったという苦い過去があります。
それもあって長男はあまりズバズバと物を言えず、嫁を庇えない部分があるようです。

こういう複雑な環境のせいか、この家の男たちは気遣いの達人のようになり、女性たちはそれに救われているように見えます。

自営業を営む一家の主ともなると、家庭内の事は妻に任せっきりという訳にはいかないようです。

【鰯雲】親の思惑に対抗して、結束する兄弟たち

「鰯雲」は、家族の中でも世代の違う者どうしが、価値観や生き方の違いに戸惑いながら、それぞれ独立していく物語です。

昔の農村では、女性は労働力として不足な場合、離縁されてしまうという事があったようです。

物語に登場する旧地主の祖父は嫁に厳しく、その息子は不本意ながら3度も離婚をさせられています。
そして3人の妻の子供をすべて抱えているため、かなりの大所帯です。

これでは さぞドライな家庭が出来上がるかと思いきや、子供たちはとても良い関係を築いています。

親の言いなりになって苦労した父親を見ているためか、子供たちは自立心が旺盛です。
彼らは時代の変化について行けない父親を置き去りにして、次々と思い通りの人生を切り拓いていきます。

親と対立してしまう分だけ兄弟同士の結束が固くなる一方で、父親はちょっと可愛そうでした。
でも兄弟がお互いに助け合いつつ、それぞれが別の道を進んでいく様子は、あんがい家族の発展につながるように思えました。

3つの家庭に共通している事

この3つの作品を見ていて、ふとある共通点に気が付きました。
それは、どの家庭にも母親に連れ子がいないという事です。

母親は離婚した時に子供がいても、その子を男親の元へ置いて単身で家を出ています。

そういえば幼児虐待の悲しい事件って、母親の連れ子の場合だったりする気がします。
再婚の夫がだんだん奥さんの連れ子をいじめ始めて、エスカレートしてしまうようです。

もちろん そんな事は、ほんの一部の話だとは思います。
ただ、そのケースの方が確率の上で高いという「傾向」はあるような気がします。

元々は、女性が一人で子供を育てる事の難しさを考慮しての選択かもしれませんが、映画に描かれた家庭は結果としての成功例のように見えました。

今では「子供は母親のもとで育てるのが幸せだ」という考えが主流だと思いますが、必ずしもそうとは限らないのかもしれないと思う偶然でした。

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