夏休みに田舎や実家などの帰る場所が無かったり、昔とは違ってしまっていたりすると、ちょっと寂しい気分になります。
それでも人の心に焼き付いた子供時代の思い出って、多くの人に共通するイメージのようなものがあるような気がします。
今回は、子供の頃の夏休みを彷彿とさせる、どこか懐かしい雰囲気が漂う作品をまとめました。
【風の中の子供】子供部屋の風景
「風の中の子供」には、古き良き日本の風景を絵に書いたような、子供の夏休みの情景が描かれています。
ところが、その中にも「これは、けっこう最近まであったかも?」と思うような場面も登場します。
ターザンの雄叫びを真似をしたり、水泳を模して布団の上で泳ぎ、もう一人が実況中継をする「オリンピックごっこ」というのは、自分らもかつてやっていた覚えがあります。
そして何といっても「子供部屋」で兄弟と一緒に遊んだ思い出は、子供時代の宝物だと思います。
そんな子供たちにも、一家離散という試練が訪れます。
ところが主人公の少年が、そんな苦境にも屈服する事なく、家に帰りたいという一心で、色々と試行錯誤する光景には感心させられてしまいます。
高い木に登ってみたり、タライに乗って川下りしたりするのは序の口で、しまいには「河童に会いに行く」とか「サーカス団に紛れ込む」という、相当に自由で奇想天外な行動に出るのでした。
その柔軟で明るい様子には、子供の底力を感じます。
【まごころ】いつも二人一緒だった親友
「まごころ」は、仲良しの女の子ふたりの友情と、夏の日のスタルジーを描いたような物語です。
思春期にさしかかった少女の、清らかさと淡い不安が混ざり合ったような微妙な心境を
優しい存在が包み込むような、穏やかな空気が漂っています。
辛い事や悲しい事があっても、真夏の山や川という自然が浄化してくれるみたいだし
いつも一緒の親友は、天然の明るさで「こだわり」を吹き飛ばしてくれます。
女の子って、特定の友達とずっと行動を共にする事が多いと思います。
お互いに影響を与え合ったり、悩みを話し合ったり、ときには喧嘩もする親友は、
家族以外で始めて出会う「親密な存在」ではないでしょうか。
そんな少女時代の思い出に刻み込まれた、深い記憶を思い起こさせてくれます。
【隣の八重ちゃん】お隣さんと行ったり、来たり
「隣の八重ちゃん」には、昔ながらの「ご近所付き合い」の様子が描かれています。
隣合った2つの家庭が、世代が近いだけでなく気も合ったらしく、家族ぐるみの濃いお付き合いをしています。
母親どうしは子育てについて悩みを語り合い、隣の子供に対しても家族のような親しみをもって可愛がります。
もちろん子供同士も兄弟のように仲良しで、家族が2倍になったような賑やかさがあります。
そして生活拠点は閑静な郊外ながら、ちょっと足を伸ばせば銀座に映画を見に行ったりも出来るという、なかなか優雅な庶民の生活が描かれていました。
こんな環境の中、何かと悩み多き思春期を、伸び伸びと明るく過ごす女学生のヒロインが幸せそうです。
楽しい子供時代は、人生の宝
自然豊かな田園地帯の、地域コミュニティに根ざした生活は
今から見ると、何かと煩わしい事が多いかもしれません。
ところが、それは大人の事情であって
映画に出てくる子供たちを見ていると
みんなメンタルが強くて安定し、朗らかな子ばかりで心が洗われるようです。
子供って大人から見ると、無駄に走り回ったり、意味無く叫んだりするものです。
だけど、それは単純に生きる喜びを謳歌している姿で、本当は無駄な事など一つとして無いのでしょう。
そんな喜びも、秩序だった都会生活を長く続けるうちに、いつしか忘れてしまい
いつの間にか「心から楽しむ事」を追求する事すら億劫になっているかもしれないと思います。
自然の中で悠々と遊びながら育った子供というのは、ある程度の年齢に達してから勉強をさせると
その「吸収力」は、ハンパ無いそうです。
その理由は、文字から受け取る情報量の限界にあるようで
都会で言語中心の学習をした場合に比べると
山や海などの自然豊かな環境で、自主的に遊びながら得る情報というのは、
それこそ膨大な量なんだそうです。
そういう環境に育った子供は、自ずと情報収集能力が身につき
学校の勉強など、あっという間に消化してしまうんだとか・・・。
昔の子供たちが自然豊かな環境で、仲間とともに遊び回る姿を見て
「なんか楽しそう・・・」と思うのは
楽しいだけでなく、色々と理にかなっていたのかも知れません。
友達と遊ぶのもほどほどに、テレビを見たりして「何となく」過ごしてしまった
自分の子供時代を考えると、彼らは本当に輝いて見えます。
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