「質屋」というと、今ではブランド品や貴金属を引き取ってもらって現金化する所になっていますが、昔の映画を見ていると、かつての質屋はだいぶ雰囲気が違っていた事がわかります。

ふだん自分が使っている道具を持っていけばお金が借りられるという、どこか貧乏人の味方のようなイメージがあって新鮮です。

今回は、質屋に出入りしながら何とか生きている、たくましい貧乏暮らしの人々を描いた映画をまとめました。

【もぐら横丁】質屋さんはお友達♪

「もぐら横丁」には、質屋さんと仲良しになってしまう夫婦の様子が描かれています。

まだ子供のような無邪気な奥さんは、質屋通いがほとんど日常となっています。
「質屋ってすごいわね。色んなものがお金に化けちゃうんだもん」
と貧苦をものともせず、むしろ楽しんでいる所があります。

小説家志望の夫には収入らしい収入はほとんど無く、二人は質屋や古本屋の常連で、だんだんお友達のような親しみさえ生まれています。

そして、とうとう夫が芥川賞を受賞した暁には、質屋さんとは縁が切れるのかと思いきや、そうではありませんでした。
メダルを質屋に預けて
「ここへ預けて置くのが一番安全だ」
と言って、これからもお世話になりますと挨拶をするのでした。

【杏っ子】質屋は夜行く?

「杏っ子」は、元はお嬢様だった娘が、結婚して質屋の常連になるというエピソードが出てきます。

父親が、娘の生活を心配して色々と訪ねるシーンでは
「質屋は夜行くの?」
という質問が出てきます。

それに対して娘は
「いいえ、昼でも行きます」
と答えるのですが、このセリフは質屋通いが恥ずかしいという段階を越えてしまっている事を表しているようです。

女性が収入を得るのが難しかった時代は、ただひたすら持ち物や嫁入り道具を手放すしか、生活の手段が無かったようです。

【泣蟲小僧】質屋は昭和のATM!

「泣蟲小僧」には、売れない小説家のカツカツな生活が描かれています。

この一家には、全く現金が無いという状態がたびたび訪れるようです。
小さな子供がいるのに、ガスが止められたりする事も日常茶飯事です。

それなのに義姉の子供を預かる羽目になった旦那さんは、仕方なく質屋に出かけていきます。
子供には「洗濯屋に行く」と言って誤魔化しますが、一体何を質に入れたのやら?と疑問が湧いてきますww

それにしても、普段着ているような洋服を持っていってお金が借りられるとは、ATMのようでなかなか便利なものです。

こんな「宵越しの銭は持たない」みたいなライフスタイルが存在していた様子を見ると、それでも何とかなってしまうという時代に、ささやかな自由を感じてしまいました。

質屋は買取業者とは違うらしい

ちょっと気になったので、質屋の歴史について調べてみました。

質屋は江戸時代頃に出来上がったシステムで、昭和の初期あたりまで機能していたようです。
どうして無くなったのかというと、消費者金融が誕生したせいでその役割を終えたという話でした。

最初は質屋と金融というイメージが結びつきませんでしたが、質屋は今の「買取業者」とは別物のようです。
質屋はあくまでも「質草を担保にお金を貸す」という金融業だったのでした。

質草とは衣類や道具などでもOKで、特に高級品とは限りません。
預けた品物は、お金と交換に質屋が預かります。

そして期限内に借りたお金と利息を支払うと、預けた品物が手元に戻ってきます。
ちなみに質屋は、質草の価値以下のお金しか貸しません。

借りたお金の返済が出来ない時は、品物の所有権が質屋に移ります。
利息だけでも払うと、質入れの期間を延長することも出来るそうです。

高級品がなければ大金を借りる事は出来ませんが、一時的に困った時などは便利ですね。
今のように、衣服や道具が使い捨てでなかった時代の感覚ならではという感じがしました。

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