大正時代って何故か「甘くてウットリ・・・」という、意味不明の漠然としたイメージがありますww
そもそも「大正ロマン」って何だろう?
と疑問に思い調べてみると、当時ヨーロッパで展開した精神運動「ロマン主義」の影響を受けた、当時のムーブメントの事だそうです・・・。
何だかよくわかりませんが、いよいよ江戸時代の文化や風習が衰え始め、西洋化が進んできた時代だったのではないかと思います。
ただ日本という国は外国の文化を取り込むだけでなく、それを日本風にアレンジしてしまう所が特徴です。
そのまま受け入れるのではなく、いったん日本というフィルターを通して、新しいものに作り変えてしまうという感じでしょうか。
そんな日本で生まれた大正時代の文化が新鮮で、魅了されてしまいます。
【あらくれ】文化の広がりがある、多様な時代
「あらくれ」には、洋服屋を営む女経営者の奮闘が描かれています。
ヒロインが似合わないドレスを着て、慣れない自転車に乗って営業に回る様子は「はいからさん」というよりは滑稽な感じで、当時ではまだ自転車も洋服も物珍しかった様子が描かれていました。
文化的に多様な時代だったようで、江戸時代のような部分があったかと思えば、博覧会の様子などはいかにも明治的だし、大日本帝国という感じの「大礼服」が飾られていたりします。
映画館の様子などは更に近代的な感じで、活動弁士(かつどうべんし)が特徴的な喋り方をする場面が印象的でした。
ヒロインが逆境に負けず、凝り固まった因習をなぎ倒しながら猛進する様子は、当時の日本の急成長を見るようでエネルギーがみなぎっていました。
【放浪記】大正といえば、やっぱり「カフェー」
「放浪記」には、場末のカフェーや下宿など、大正時代の下町の様子が描かれています。
場末といっても、和服にエプロンという女給の出で立ちや、和洋折衷なお店の装飾、のんびりとした歌声が流れて「甘い」ムードが漂うのは、やっぱり時代のせいでしょうか?
ヒロインは実在の小説家・林芙美子がモデルで、彼女の下積み時代を思わせる不遇の青春期が描かれています。
凄まじい貧乏の中にあっても、小説や詩を読んだり書いたり、演劇で活動する仲間たちの間には、夢追い人ならではの楽しさを感じました。
共産党員の作家が、芙美子に「本当の貧乏人は、赤い旗振ってる暇もないからね」と言われて、ぐうの音も出ない場面が印象に残りましたが、やっぱり本物の言葉には重みがあるものです。
【女優須磨子の恋】大正を代表する、伝説の女優
「女優須磨子の恋」は、大正期に大流行した新劇女優・松井須磨子の活躍が描かれています。
それまでの芝居は男の世界だったので、女優という存在じたいが新しく、何かとセンセーショナルな女優さんだったようです。
ヨーロッパの戯曲が演じられたり、レコードが普及し始めたのは、ほぼ大正からのようです。
須磨子は時代の最先端にいたような人で、芸術の新興と商業的成功という、同時に達成する事の難しい2つの目標を掲げ、そのジレンマに悪戦苦闘する様子が描かれていました。
最後には大劇場での公演という夢が叶いますが、地方巡業で演じたトルストイの『復活』でのカチューシャ役と「カチューシャの唄」という歌が大ヒットして、大正時代の代表的な歌の一つとなりました。
「あらくれ」ではヒロインが須磨子のヒット曲を口ずさんでいるし、林芙美子も須磨子の影響を受けた若者の一人ではないかな、と思います。
【ちょっと余談】大正ロマンの風情を求めて
大正ロマンの風情を残すスポットは、行ってみたくても見つけるのが大変です。
大正時代の建物などは現存していたりするのですが、景観として雰囲気を保っている場所は少ないようです。
「元湯 環翠楼」は、首都圏から気軽に旅行できる箱根にありながら、レトロな雰囲気を残している貴重な旅館です。
きっとビルや道路など、近代的な街に囲まれていない所がポイントなんだと思います。
静かにタイムスリップしたい時、観光もせずにのんびりしたい気分です。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。