その人は遠く [DVD]

「その人は遠く」は、年上の女性の魅力と影、そして年の差恋愛の微妙な心理を描いた恋物語です。

従姉弟のお姉さんと大学入試を控えた受験生の、微妙な恋愛感情がもどかしい感じでした。

昔ながらの「家族制度」の呪縛に負けて弱っていくお姉さんと、主人公の新しいガールフレンドの奔放さの違いに、当時の価値観の変化が投影されているような気がしました。

従姉弟のお姉さん、奈津子(芦川いづみ)

いのちの朝 [DVD]

大学受験中の岡田量介(山内賢)は、母一人子一人の二人暮らしです。

ある日母親は、父親が急死して身寄りがなくなってしまった遠い親戚の奈津子(芦川いづみ)を可愛そうに思い、彼女を家に引き取る事にします。

最初は勉強の妨げになると文句を言っていた量介ですが、ひと目見た瞬間から奈津子の魅力に惹きつけられてしまいます。

この美しい年上の従姉・奈津子と量介はたちまち仲良しになり、姉弟のようで恋人のような微妙な関係を築いていきます。

ところが奈津子に、親戚から縁談の話が持ち込まれます。

量介は涙ぐましい方法で奈津子に想いを告げようとしますが、奈津子はあっさりとこの話を承諾してお嫁に行ってしまいます。
量介は裏切られた気分になり、ショックを受けるのでした。

受験に通って大学生になった量介は、弟として奈津子の嫁ぎ先へ行きますが、変わってしまった奈津子を見て幻滅を感じてしまいます。

それでもなお、想いを断ち切る事は出来ないのでした。

◆芦川いづみさんの出演している映画◆


純粋でストレートな娘、恵以子(和泉雅子)

おとなの銀座

傷心の量介に、更に追い打ちをかけるような悲劇が訪れます。
心臓の弱かった母親が、自動車事故のショックで亡くなってしまったのです。

事故を起こしたタクシーに乗っていたのは量介と同じ年頃の娘で、彼女は自分の責任に押しつぶされそうになります。
そしてその娘・恵以子(和泉雅子)は量介の事が気になり、積極的に近づいて行きます。

いつしか恵以子には量介への恋心が芽生えますが、量介はなかなか奈津子を忘れる事が出来ません。

ただ素直な恵以子の想いはストレートで、可愛い所があります。
そんな恵以子の存在で、量介は次第に奈津子への傷心を忘れていきます。

奈津子の心境の変化

その頃奈津子は、家庭生活でゴタゴタしていました。
奈津子が結婚した相手はいい加減な男で、どうやら奈津子は幸せではなかったようです。

奈津子は今更のように量介が懐かしくなり、量介に中途半端なアプローチをしたりします。
そして夫と別れようとしますが、親戚は奈津子が量介に近付こうとしている事を警戒します。

奈津子はかつて結婚を決めた時も、本当は量介に遠慮して身を引いたのでした。
でも今度こそ、気持ちを貫こうとしている様子です。

ところが量介には恵以子という存在がある事を知り、ひとりで生きていく決心をするのでした。

1963年公開

奈津子のような ちょっと古風な女性と、恵以子という破天荒なキャラのアンバランスさが印象的でした。

そして量介の真面目で純粋で大人しく、いつも主導権は女側にある様子が「今どき」っぽく、ここは あまり古さを感じません。

一方で恵以子の方は今からみると驚くような言動があって、このチグハグさが今となっては ちょっと新鮮でした。

でも それ以外の作品全体には、現代に通じる雰囲気がある気がします。

ある意味このあたりから「一般ピー」の感覚や生活は、大きく変化していないのかもしれないと思いました。

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