昔の映画を見ていると、子供たちが伸び伸びとしている様子が描かれています。
そして驚くのは、その早熟さです。

勉強が出来るとか知識があるという意味ではなく、けっこう大人の世界を理解していたり、ちゃんと自分の意志で行動している感じです。
それでいて天真爛漫で、とてもメンタルが安定しています。

勉強よりも、むしろこういう「生きるチカラ」みたいなものの方が大切なのでは?という気分になってくる映画を集めてみました。

【淑女は何を忘れたか】大人顔負けの子供たち

「淑女は何を忘れたか」には、夫と死別して、独りで小さな男の子を育てているお母さんが出てきます。

このお母さんは、旦那さんが大学教授をしているという友達に頼んで、学生に子供の家庭教師をやってくれるよう頼みます。

ところがいざ始めてみると、この岡田という生徒は小学生の宿題の解き方が分からず、困惑してしまいます。
そこへ子供の友達が遊びに来て、その問題の解き方を慣れた調子で分かりやすく解説するのです。

子供は怪訝そうに訪ねます。
「岡田さん、どこの学校出たの?」大学だよ、と答えると
「じゃあ、中学は?」もちろん出たよ
という返答に暫く考えて・・・

「じゃあ、僕たちも大丈夫だね!」と、二人の小学生は満面の笑みを浮かべ、もうその後は勉強どころではなくなってしまいます。
その様子は無邪気なようでもあり、一方で大人顔負けのしたたかさすら感じます。

【花婿の寝言】働く少年のたくましさ

昭和の子供がすごいのは、何もブルジョア家庭の子供だけではありません。
酒屋の小僧もたくましく、前向な姿勢で日々過ごしています。

ある怪しい霊媒師の男が、朝早くに丘の上でウロウロしていると、威勢のいい少年の声が聞こえてきました。
誰かと話しているのかと思いきや、それは独り言でした。
不思議に思った男が何をしているのか尋ねると、少年は御用聞きの練習をしていると言います。
何とこの子は、お客さんの印象を良くするために自主的に発声法を研究しているのでした。

こんな小さな子が働いているというだけでも驚きですが、その勤勉さには感心させられてしまいます。
かといって生真面目な性格という訳でもなく、怪しい霊媒師をからかうようなやり取りは漫才のようです。

そして怪しいおじさん程度であればほとんど対等に話が出来て、商売上の駆け引きが成立したりするから驚きです。

【故郷】大人の事情をわきまえている少年

「故郷」には、農村地帯に暮らす、働きながら学校に通う小学生の男の子が出てきます。

この子の家は、父親はいないし母親は畑に出ています。
長男が小さな食品店を営んでいて、小学生の弟が店を手伝っています。
手伝いといっても、御用聞きから配達までこなす大切な戦力という感じです。
そのかたわら勉強も怠らず、学校の成績も上々のようです。

この子には都会の大学に通っていた姉がいますが、姉は進学したものの就職には失敗してしまい、故郷に帰ってきました。
仕方なく地元の名士に就職を世話してもらうのですが、一方で弟はその名士の子にいじめられています。
本来ならいじめられて黙っているような子ではありませんが、彼は姉の事情を理解していて、じっとこのイジメに耐えているのです。

年の離れた兄も弟を心から信頼しているようで、ほとんど大人として対等に接する様子にはむしろ温かいものを感じます。

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